「寡頭政における君主の圧政よりも、民主政における市民の無関心の方が公共の福祉にとってはるかに危険である」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“The tyranny of a prince in an oligarchy is not so dangerous to the public welfare as the apathy of a citizen in a democracy.”
日本語訳
「寡頭政における君主の圧政よりも、民主政における市民の無関心の方が公共の福祉にとってはるかに危険である」
解説
この名言は、政治体制の性質によって脅威となる要因が異なることを明確に示している。モンテスキューは、寡頭政では権力が一部の者に集中しており、そこから生じる圧政は制度の構造上ある程度予測可能であるとする一方、民主政においては市民一人ひとりの関与と責任が前提とされるため、無関心は制度全体を崩壊させかねない根源的な危機となると論じている。
この思想は『法の精神』における政治体制論と一致しており、特に民主主義が「徳」を基礎として成立するという彼の見解が反映されている。モンテスキューにとって、「徳」とは抽象的な道徳ではなく、市民が公共の利益のために自ら行動しようとする意志のことであり、それが失われたとき民主政は必ず腐敗に向かう。つまり、制度そのものの強さよりも、それを支える市民の意識の質が重要であるという点が強調されている。
現代においても、選挙への無関心、政治的無力感、情報への無関心が民主主義を蝕む現象は各国で見られる。この名言は、民主主義の最大の敵は独裁者ではなく、冷笑主義に陥った無関心な市民であるという普遍的な警告を発している。自由を守る力は制度ではなく、それに責任を持つ市民の手に委ねられているのである。
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