「からかいとは、自らの機知を称えるために、より良き性質を犠牲にする話し方である」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“Raillery is a mode of speaking in favor of one’s wit at the expense of one’s better nature.”
日本語訳
「からかいとは、自らの機知を称えるために、より良き性質を犠牲にする話し方である」
解説
この名言は、機知やユーモアが、道徳的な品位や思いやりを損なうときに成立する皮肉な言葉の使い方を批判している。モンテスキューは、「からかい(raillery)」を単なる軽妙な冗談としてではなく、自己の知性を誇示するために他者を傷つける危うい表現として捉えている。本来の「より良き性質」、すなわち優しさ・誠実さ・共感といった徳目が損なわれることで、言葉の品格も損なわれる。
モンテスキューは18世紀フランスの洗練された社交界に生きていたが、同時に社交的な鋭さが倫理的な自制を超えてしまうことの危険性を理解していた。この名言には、理性と道徳、表現と品格のバランスがいかに重要であるかを説く啓蒙思想家の立場が表れている。知性の使用は常に倫理的責任とともにあるべきだという主張である。
現代でも、皮肉や風刺、SNS上でのユーモアが他者を傷つける「巧妙な攻撃」になってしまう例が多く見られる。この名言は、言葉の機知が倫理的な自我を覆い隠すとき、真の知性から遠ざかるという重要な教訓を与える。鋭さだけでなく、優しさを伴った知性こそが本当に尊ばれるべきであるという価値観がここに示されている。
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