「堕落するのは若者ではない。彼らが堕落するのは、年長者たちがすでに腐敗しきっているときである」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“It is not the young people that degenerate; they are not spoiled till those of mature age are already sunk into corruption.”
日本語訳
「堕落するのは若者ではない。彼らが堕落するのは、年長者たちがすでに腐敗しきっているときである」
解説
この名言は、社会の道徳的退廃の原因を若者に押しつけるのではなく、むしろ模範となるべき年長者や支配層の堕落にこそ本質的な問題があることを鋭く指摘している。モンテスキューは、若者の行動や価値観は社会環境の反映であり、その社会を形成する大人たちの倫理が腐敗すれば、次世代もそれに倣って堕落するのは必然であると論じている。
この考え方は、18世紀啓蒙思想における教育・徳・社会制度の関係性と密接に関わっている。モンテスキューは『法の精神』においても、政体の維持には徳(とく)――つまり公共のために生きる姿勢――が不可欠であり、それは上の世代によって次世代に伝えられるべきものだとした。この名言は、若者を責めるのではなく、彼らの環境を作る責任の所在を明確にすることで、社会の改善を根本から問い直している。
現代においても、世代間の断絶や若者文化に対する批判はしばしば見られるが、その根底にある社会構造や大人の振る舞いが批判されることは少ない。この名言は、若者を変えるにはまず大人が変わらなければならないという普遍的な教訓を与え、道徳的再生の出発点は常に自らにあることを示す。教育も文化も、世代を超えて伝承されるがゆえに、その質の低下は上の世代から始まる――それがモンテスキューの厳しくも的確な警告である。
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