「私は楽園の描写を読んだことがあるが、常識ある人間なら、そこへ行きたいという気を失わせるようなものだった」

シャルル・ド・モンテスキューの名言
シャルル・ド・モンテスキューの名言
  • 1689年1月18日~1755年2月10日
  • フランス王国出身
  • 哲学者、法学者、政治思想家
  • 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。

英文

“I have read descriptions of Paradise that would make any sensible person stop wanting to go there.”

日本語訳

「私は楽園の描写を読んだことがあるが、常識ある人間なら、そこへ行きたいという気を失わせるようなものだった」

解説

この名言は、宗教や文学に描かれる「楽園」が、理想であるはずなのに、実際には魅力を感じさせないことがあるという逆説的な批判である。モンテスキューはここで、理性ある人間にとっての幸福や理想とは何かを問い直している。つまり、楽園の観念が現実の欲望や価値観とかけ離れたものであるならば、それはもはや楽園ではなく、退屈や不自由の象徴ですらあるというのである。

18世紀の啓蒙時代においては、宗教的教義や神学的想像力に対する理性的な再検討が盛んであった。モンテスキューもまた、人間の自由や快活さ、知的刺激を重んじる思想家であり、画一的で静的な理想郷には生の活力を感じなかったのであろう。彼のこの皮肉な言葉は、「理想」とは誰の価値観によって形成されているのかという根本的な疑問を投げかけている

現代にも通じるのは、万人にとっての「楽園」など存在しないという現実的な視点である。ユートピアや理想社会がしばしば個人の多様性や自由を犠牲にして成り立っている場合がある。この名言は、理想を追求する上で、感性や個性を押し殺すことのない、真に生きがいある世界を目指すべきだという啓蒙的な精神を体現している。

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