「偽りの幸福は人を厳格で傲慢にし、その幸福は決して他人と分かち合われることがない。真の幸福は人を優しく思慮深くし、その幸福は常に分かち合われる」

- 1689年1月18日~1755年2月10日
- フランス王国出身
- 哲学者、法学者、政治思想家
- 『法の精神』において三権分立を提唱し、近代憲法や民主主義理論に大きな影響を与えた。啓蒙時代を代表する思想家として、自由と法の支配の重要性を説いた。
英文
“False happiness renders men stern and proud, and that happiness is never communicated. True happiness renders them kind and sensible, and that happiness is always shared.”
日本語訳
「偽りの幸福は人を厳格で傲慢にし、その幸福は決して他人と分かち合われることがない。真の幸福は人を優しく思慮深くし、その幸福は常に分かち合われる」
解説
この名言は、幸福の本質を鋭く見抜いたモンテスキューの人間観に基づいており、真の幸福と偽りの幸福とを対比的に描いている。彼は、名誉、富、権力といった外面的・虚栄的な「偽の幸福」は、人を冷たく、他者に対して閉ざされた存在にすると述べる一方で、心の充実や徳に根ざした「真の幸福」は、他者への思いやりと共感を生み出し、自然と周囲に広がっていくと説いている。
この考えは、啓蒙思想に共通する内面の理性と倫理に価値を置く姿勢と通じており、モンテスキューはここでも幸福とは個人の所有物ではなく、他者と分かち合うことで真価を持つ社会的・道徳的体験であると捉えている。偽りの幸福は孤独と虚勢を伴い、真の幸福はつながりと優しさを伴うというこの構図は、人間のあり方と社会の質に関する根本的な哲学を表している。
現代においても、物質的成功やステータスが幸福の指標とされる一方で、それが孤立や精神的空虚をもたらす例は少なくない。この名言は、本当に満ち足りた人間は他者への配慮を自然と行うという、人間的成熟のあり方を示している。幸福とは見せびらかすものではなく、優しさとなって他人に届くものだ――それがモンテスキューの指し示す真理である。
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