「原子爆弾を持たぬ国は、真に独立しているとは到底言えない」

シャルル・ド・ゴールの名言
シャルル・ド・ゴールの名言
  • 1890年11月22日~1970年11月9日
  • フランス出身
  • 軍人、政治家、第18代フランス大統領
  • 第二次世界大戦中に自由フランスを主導し、戦後はフランス第五共和政を樹立。大統領として強力な指導力を発揮し、植民地政策の転換や独自の外交路線を推進した。近代フランスの象徴的指導者として知られている。

英文

“No country without an atom bomb could properly consider itself independent.”

日本語訳

「原子爆弾を持たぬ国は、真に独立しているとは到底言えない」

解説

この名言は、核兵器こそが国家の真の主権と独立性を保証するものであるという、冷厳な地政学的現実を語ったものである。シャルル・ド・ゴールは、第二次世界大戦後の世界秩序において、アメリカとソ連という核保有国に挟まれたフランスが、自国の戦略的判断を他国の核傘の下に委ねることは、実質的な従属に等しいと考えていた。この言葉には、軍事的抑止力が外交的自立を支える基盤であるという現実主義的な思想が込められている。

その信念に基づき、ド・ゴールはフランス独自の核戦力「フォース・ド・フラップ(核抑止力)」の整備を推進し、アメリカ主導のNATO軍事指揮構造からの脱退を決断した。これにより、フランスは核保有国として、超大国に対する対等な立場を築くことを目指した。この名言は、まさにその戦略的自立の思想の核に位置づけられる発言である。

現代においても、この言葉は核兵器の是非を超えて、国家の独立とは何かという問いを突きつける。同盟や条約のもとであっても、最終的な安全保障を自国の力で担えなければ、本当の意味での主権は存在しないという警鐘として、この名言は国際政治の現実を見抜く視座を提供する。すなわち、軍事力なき主権は脆弱であり、抑止力こそが平和と独立の背後にある影の力であるという、時代を超えた警句である。

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