「1946年にフランスを救うのは難しかったかもしれない――あのとき私にはテレビがなかったからだ」

シャルル・ド・ゴールの名言
シャルル・ド・ゴールの名言
  • 1890年11月22日~1970年11月9日
  • フランス出身
  • 軍人、政治家、第18代フランス大統領
  • 第二次世界大戦中に自由フランスを主導し、戦後はフランス第五共和政を樹立。大統領として強力な指導力を発揮し、植民地政策の転換や独自の外交路線を推進した。近代フランスの象徴的指導者として知られている。

英文

“I might have had trouble saving France in 1946 – I didn’t have television then.”

日本語訳

「1946年にフランスを救うのは難しかったかもしれない――あのとき私にはテレビがなかったからだ」

解説

この言葉は、現代政治におけるメディアの影響力を皮肉混じりに認めた発言である。ド・ゴールは1946年、第四共和制の政治的分裂と弱体化を前にして辞任しているが、この発言はもし当時テレビという強力な情報伝達手段があれば、自らの意志や理念をより広く国民に伝えることができたという含意を含んでいる。すなわち、政治的影響力の源泉が「言葉の力」から「映像の力」へと移りつつあった時代への洞察である。

ド・ゴールは、第五共和制の成立後、テレビという新たな媒体を巧みに利用し、国民に直接語りかけることで指導力と正当性を確立した。それまでの政治は議会や新聞を中心に展開されていたが、映像による演説や訴えは、感情や信頼感に訴える力が格段に強かった。この発言は、そうしたメディア革命に対する自己認識と、それ以前の時代の限界を振り返る歴史的皮肉でもある。

現代では、テレビに代わってインターネットやSNSが政治の中心にある。いかに優れた政策や理念を持っていても、それを効果的に伝える手段を持たなければ支持を得ることは難しい。この言葉は、現代のリーダーにとって「伝達力」が統治能力と同等に重要であるという普遍的な現実を、静かに告げている。

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