「私に敵対するのはブルジョワ、軍人、外交官であり、味方なのは地下鉄に乗る民衆だけだ」

シャルル・ド・ゴールの名言
シャルル・ド・ゴールの名言
  • 1890年11月22日~1970年11月9日
  • フランス出身
  • 軍人、政治家、第18代フランス大統領
  • 第二次世界大戦中に自由フランスを主導し、戦後はフランス第五共和政を樹立。大統領として強力な指導力を発揮し、植民地政策の転換や独自の外交路線を推進した。近代フランスの象徴的指導者として知られている。

英文

“I have against me the bourgeois, the military and the diplomats, and for me, only the people who take the Metro.”

日本語訳

「私に敵対するのはブルジョワ、軍人、外交官であり、味方なのは地下鉄に乗る民衆だけだ」

解説

この言葉は、支配階層と一般大衆との対立構造を明確に示した政治的自覚の表明である。シャルル・ド・ゴールは、しばしばフランスの支配層や官僚機構から距離を置き、「国民の意志」を拠り所とする指導者として振る舞った。この発言には、既得権益層に対する不信と、市民生活に根ざした人々への信頼が込められている。

発言の背景には、1960年代におけるフランスの政治的不安定や、支配エリートによる抵抗があると考えられる。ド・ゴールはしばしば、国民投票や直接的な民意の承認を重視し、軍や官僚の意向よりも地下鉄に乗るような労働者や庶民の支持を政治の正統性の根拠とみなしていた。この姿勢は、彼の「強い大統領制」への志向とも一致している。

現代社会においても、この名言はエリート主義に対する民主主義の原点を再確認させるものである。国家の方向性を決めるうえで、政治家が向き合うべきなのは地位や権力ではなく、日々の生活に悩み、働く庶民の声である。この言葉は、政治の正当性は階層の上ではなく、地下鉄の乗客にこそあるという、根源的な民主主義の理念を力強く伝えている。

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