「我々は常に、時間という観念と感覚に押し潰されている。この悪夢から逃れ、忘れる手段は二つしかない。享楽と労働である。享楽は我々を消耗させ、労働は我々を強める。さあ、選ぶのだ」

- 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
- フランス出身
- 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」
英文
”We are weighed down, every moment, by the conception and the sensation of Time. And there are but two means of escaping and forgetting this nightmare: pleasure and work. Pleasure consumes us. Work strengthens us. Let us choose.”
日本語訳
「我々は常に、時間という観念と感覚に押し潰されている。この悪夢から逃れ、忘れる手段は二つしかない。享楽と労働である。享楽は我々を消耗させ、労働は我々を強める。さあ、選ぶのだ」
解説
この言葉は、時間に縛られた人間存在とその克服の手段についてのボードレールの洞察を示している。彼は人間が時間の重圧を逃れるために、快楽に没入するか労働に従事するかの二つの道を提示した。快楽は一時的な逃避であるが、やがて人を疲弊させる。一方で労働は、持続的に人を鍛え、存在を支える力となる。
19世紀フランスの都市生活は、近代化とともに時間に追われる感覚を強めていた。ボードレールはその倦怠や虚無(スプリーン)を詩作の中心に据え、人間は時間の奴隷であるという認識を深めていた。この言葉は、その支配から逃れるための実践的な選択肢を提示している。
現代においても、この言葉は鋭い真実を突いている。消費社会における享楽は一時的な慰めにすぎず、持続的な充実を与えるのは仕事や創造的活動である。ボードレールの言葉は、時間という重荷に抗するための人間の営みを鮮明に描き出し、今日の我々にも深い示唆を与えている。
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