「自然は寺院であり、生ける柱は時に曖昧な言葉を発する。人は象徴の森を通り抜け、それらの森は親しげな眼差しで彼を見つめる」

- 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
- フランス出身
- 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」
英文
“Nature is a temple in which living columns sometimes emit confused words. Man approaches it through forests of symbols, which observe him with familiar glances.”
日本語訳
「自然は寺院であり、生ける柱は時に曖昧な言葉を発する。人は象徴の森を通り抜け、それらの森は親しげな眼差しで彼を見つめる」
解説
この言葉は、ボードレールの詩集『悪の華』に収められた有名なソネット「Correspondances(対応)」の一節であり、象徴主義の核心思想を端的に示している。自然を「寺院」と捉える比喩は、自然界が聖なる言語を秘めていることを暗示する。そして人間はその中で象徴を読み解こうとするが、その言葉はしばしば混乱しており、完全には解釈できない。
19世紀半ば、科学の進歩と宗教的懐疑が交錯する中で、ボードレールは自然を象徴の体系として捉えた。色、香り、音といった感覚的要素が互いに呼応し、隠された秩序を形作っていると考えたのである。この思想はのちの象徴主義詩人やモダニズム文学に多大な影響を与えた。
現代的に解釈すれば、この言葉は自然と人間の相互関係を新たな視点で捉えるものだといえる。人は自然の中に象徴を見出し、それを通じて自らを理解する。環境問題やエコロジーが注目される今日、この「自然という寺院」の比喩は、自然と人間が切り離せない関係にあることを改めて思い起こさせる。
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