「私にとって、男性美の最も完璧な典型はミルトンが描いたサタンであると結論づけざるを得ない」

- 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
- フランス出身
- 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」
英文
”It would be difficult for me not to conclude that the most perfect type of masculine beauty is Satan, as portrayed by Milton.”
日本語訳
「私にとって、男性美の最も完璧な典型はミルトンが描いたサタンであると結論づけざるを得ない」
解説
この言葉は、美と悪の結びつきを示すボードレール独特の美学を表している。彼はジョン・ミルトンの叙事詩『失楽園』に登場するサタンを、反逆と高貴さを兼ね備えた存在として捉え、そこに男性的な美の理想を見出した。サタンは堕落の象徴であると同時に、壮麗な姿と不屈の精神を持つ存在として描かれており、その二面性がボードレールに強い印象を与えたのである。
19世紀のフランス文学では、ロマン主義的反抗やデカダンスの思想が広まり、既存の善悪や道徳観念を超えた価値観が探求された。ボードレールにとってサタンは、反抗と自由、崇高さと破滅を併せ持つ象徴的存在であり、その姿は彼の芸術観に深く響いた。彼は「美とは必ずしも善ではなく、時に悪や破壊の中に宿る」という視点を提示したのである。
現代においても、この言葉は挑発的である。ヒーロー像が単なる正義ではなく、複雑な葛藤や暗さを含んでこそ魅力的に映るのと同様に、人はしばしば矛盾を抱えた存在に美を感じる。ボードレールの洞察は、美の本質が単純な善悪を超越することを示し、芸術や文学における表現の幅を広げ続けている。
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