「現実に存在するものを表すのは無益で退屈だと私は思う。なぜなら、存在するものには私を満たすものが何もないからだ。自然は醜く、私は露骨に凡庸なものよりも、空想の怪物を好む」

シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
  • 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
  • フランス出身
  • 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」

英文

“I consider it useless and tedious to represent what exists, because nothing that exists satisfies me. Nature is ugly, and I prefer the monsters of my fancy to what is positively trivial.”

日本語訳

「現実に存在するものを表すのは無益で退屈だと私は思う。なぜなら、存在するものには私を満たすものが何もないからだ。自然は醜く、私は露骨に凡庸なものよりも、空想の怪物を好む」

解説

この言葉は、ボードレールの反自然主義的な芸術観を如実に示している。彼にとって芸術は、自然の模倣ではなく、想像力の創造によって初めて価値を持つ。現実は凡庸で満足を与えず、むしろ人間の想像が生み出す怪物的で奇怪なものの中にこそ美や魅力を見出したのである。

19世紀はリアリズムや自然主義が隆盛した時代であったが、ボードレールはそれに真っ向から異を唱えた。自然は醜いと断じ、芸術家はそれを超えて理想や幻想を創造すべきだと主張した。この立場はのちに象徴主義やデカダン派へと継承され、芸術の自由を強調する流れを形作った。

現代的に解釈すれば、この言葉は創作における現実逃避と想像力の価値を擁護するものといえる。現実は時に退屈で残酷だが、人間は空想や幻想によって新しい意味や魅力を生み出す。ボードレールの言葉は、芸術が現実を超える想像力の力を信じる者への宣言である。

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