「神は唯一の存在である。支配するために存在する必要すらないのだから」

シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
  • 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
  • フランス出身
  • 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」

英文

”God is the only being who, in order to reign, doesn’t even need to exist.”

日本語訳

「神は唯一の存在である。支配するために存在する必要すらないのだから」

解説

この言葉は、神という観念の力を鋭く指摘している。ボードレールは、神が実在するかどうかにかかわらず、その概念が人々の心と社会を支配することができると考えた。神の存在証明を巡る議論を超えて、観念そのものの支配力に注目した点が特徴である。

19世紀フランスは、啓蒙思想や科学の発展によって信仰が揺らぎつつあった時代であり、無神論や懐疑論が広がっていた。ボードレールも宗教的懐疑を抱きながら、同時に神という観念が社会や道徳の根幹を形作っていることを認めざるを得なかった。この言葉には、信仰と不信の間で揺れる時代精神が反映されている。

現代においても、この洞察は普遍的である。宗教的信仰が薄れた社会においても、神という概念は文化、倫理、政治に深い影響を与え続けている。ボードレールの言葉は、存在そのものよりも観念の力が支配を可能にするという逆説を鮮烈に示しており、今なお思索を促すのである。

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