「商人にとっては、正直ささえも一種の財政的投機である」

シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
  • 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
  • フランス出身
  • 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」

英文

“For the merchant, even honesty is a financial speculation.”

日本語訳

「商人にとっては、正直ささえも一種の財政的投機である」

解説

この言葉は、商業社会における倫理と利益の関係を鋭く突いた皮肉である。ボードレールは、商人の正直さでさえ純粋な徳ではなく、取引を有利に進めるための計算にすぎないと指摘する。つまり、誠実さは信頼を得るための手段であり、最終的には利潤追求に従属している。

この視点は、19世紀フランスの資本主義社会の拡大と密接に結びついている。当時の商業活動は社会的信用を基盤としており、正直さは資本の一部として機能した。ボードレールは、そのような現実を道徳的に告発するというよりも、冷徹な観察として提示している。

現代的に読めば、この言葉は企業や市場に対する批判としても通用する。ブランドが掲げる「誠実さ」や「倫理性」は、しばしば顧客獲得やイメージ戦略の一環である。ボードレールの皮肉は、倫理さえも商品化される社会の構造を早くも見抜いていたといえる。

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