「いかなる新聞も、最初の行から最後の行まで恐怖の網にすぎない。潔白な手が新聞に触れて嫌悪の痙攣を起こさずにいられるのが、私には理解できない」

シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
シャルル・ボードレール(画像はイメージです)
  • 1821年4月9日~1867年8月31日(46歳没)
  • フランス出身
  • 詩人、評論家、「近代象徴詩の先駆者」

英文

”Any newspaper, from the first line to the last, is nothing but a web of horrors, I cannot understand how an innocent hand can touch a newspaper without convulsing in disgust.”

日本語訳

「いかなる新聞も、最初の行から最後の行まで恐怖の網にすぎない。潔白な手が新聞に触れて嫌悪の痙攣を起こさずにいられるのが、私には理解できない」

解説

この言葉は、新聞というメディアへの嫌悪と批判を表している。ボードレールは新聞が日々の報道を通じて恐怖や犯罪、醜悪な出来事ばかりを広めていると感じ、それを読むこと自体が人間の心を穢す行為だと見なした。ここには、19世紀の報道が持つセンセーショナリズムや俗悪さへの反発がある。

当時のパリでは新聞が急速に普及し、娯楽やスキャンダルを含む報道が大衆の関心を集めていた。ボードレールはその風潮を、人間の精神を堕落させる「恐怖の網」として強く批判した。芸術を人間の精神を高める営みと考えていた彼にとって、新聞はその対極にある存在だったのである。

現代においても、この批判は鋭い。ニュースは社会に不可欠だが、過度のセンセーショナリズムや負の情報の氾濫は、人々に不安や倦怠をもたらすことがある。ボードレールの言葉は、情報消費が人間の精神に与える影響を問い直す警告として、今なお力を持ち続けている。

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