「誘惑することと誘惑されることは、きわめて近い関係にあります。感情が関わるときには、ひとたびそれが動かされれば、私たちは気づかぬうちに、はるか先まで進んでしまっているのです」

- 1729年5月2日~1796年11月17日
- ロシア帝国出身(生まれはプロイセン王国)
- 女帝、啓蒙君主、政治改革者
英文
”For to tempt and to be tempted are things very nearly allied — whenever feeling has anything to do in the matter, no sooner is it excited than we have already gone vastly farther than we are aware of.”
日本語訳
「誘惑することと誘惑されることは、きわめて近い関係にあります。感情が関わるときには、ひとたびそれが動かされれば、私たちは気づかぬうちに、はるか先まで進んでしまっているのです」
解説
この言葉は、誘惑の本質と感情の働きの危うさを繊細に表現している。「誘惑する者」と「誘惑される者」の間に明確な境界は存在せず、感情が介在すれば、人は知らず知らずのうちに道を踏み外す可能性があるという警句である。理性と感情の対立、そして感情の暴走が、人間関係や道徳においていかに重大な影響を及ぼすかが示されている。
この名言がエカチェリーナ2世のものであるならば、権力と感情の両方に生きた統治者の複雑な人間観が反映されていると解釈できる。彼女は多くの愛人を持ち、その関係が政治にも影響を与えたが、それは単なる私生活の問題ではなく、感情と政治判断がどこで交差し、どこで逸脱するかを熟知していた証左でもある。この言葉は、自己の感情すら制御しきれない人間の弱さと、それがもたらす結果の深刻さを自覚した発言であろう。
現代でも、ビジネスや恋愛、人間関係において「気づかぬうちに越えてはならない一線を越える」ということはしばしば起こる。理性が働かない状態では、人は自分の立場や意図を見失いやすく、後悔に至る場合もある。この名言は、感情の扱い方と自己認識の重要性を警告するものであり、人間関係における倫理的注意を促す普遍的な教訓である。
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