教皇ベネディクト16世

- 1927年4月16日~2022年12月31日(95歳没)
- ドイツ出身
- ローマ教皇(在位2005年~2013年)、神学者、枢機卿
人物像と評価
ベネディクト16世(Benedict XVI、本名ヨーゼフ・ラツィンガー)は、2005年から2013年まで在位したローマ教皇である。
神学者として高い評価を受け、教皇ヨハネ・パウロ2世の右腕として教理省長官を務めた後、教皇に選出された。
彼はカトリック教会の伝統的教義を重視し、相対主義への警鐘を鳴らしつつ、信仰と理性の調和を説いた。
また『イエス伝』三部作など多くの著作を残し、神学的遺産を現代に示した点は大きな功績である。
一方で、在位中に聖職者による性的虐待問題への対応が不十分であったと批判され、教会の権威に陰を落とした。
また2013年には高齢と健康上の理由から約600年ぶりに自発的に退位し、大きな衝撃を与えた。
しかし、その学識と誠実な信仰姿勢は今も敬意を持って語られ、保守的ながらも知的な教皇として歴史に残る存在である。
名言
- 「神は変わらない。神は常に愛である。神ご自身においては交わりであり、三位一体の一致である。そして神のすべての言葉と業は交わりへと向けられている」
- 「私は、神が私たちのために御子を与え、限りない愛を示されたその愛に、すべての人が包まれていると感じてほしい。すべての人に、キリスト者であることの喜びを感じてほしい」
- 「一方で、信仰とは神との極めて個人的な交わりであり、私の最も内奥に触れ、生ける神の前に絶対的な直接性をもって私を置き、神と語り、神を愛し、神と交わりに入ることを可能にするものである」
- 「すべての世代は共通善を進めようとするとき、新たに問わなければならない。『政府が市民に合理的に課すことのできる要件とは何か、それはどこまで及ぶのか。道徳的ジレンマは何の権威に訴えることで解決できるのか』と」
- 「キリスト教信仰は、神が私たちに語りかけ、人となり、死に、復活するという選びを、特定の場所と特定の時において行われた聖なる出来事の土壌から切り離されることは決してない」
- 「美を取り去ろうとする理性のあり方は貧弱なものとなり、それは盲目の理性である」
- 「もし教皇が、自らがもはや肉体的、心理的、霊的にその職務を果たすことができないと明確に認識したならば、辞任する権利があり、場合によっては義務さえもある」
- 「もし16世紀の偉大な宣教師たちが、洗礼を受けない者は滅びると確信していたのが事実であるならば――そしてそれが彼らの宣教への情熱を説明するものであるならば――第二バチカン公会議以後のカトリック教会において、その確信は明確に放棄された」