マフムード・ダルウィーシュ

- 1941年3月13日~2008年8月9日(67歳没)
- パレスチナ出身
- 詩人、作家、政治活動家
人物像と評価
マフムード・ダルウィーシュ(Mahmoud Darwish)は、パレスチナを代表する詩人であり、その作品は祖国喪失の痛みと希望を象徴するものである。
イスラエル建国により故郷を追われた経験を背景に、詩を通じてパレスチナ人のアイデンティティや抵抗の精神を表現した。
彼の言葉は亡命者や抑圧された人々に深く響き、アラブ世界全体で広く読まれ、文化的遺産となった。
一方で、その詩は単なる政治的メッセージにとどまらず、愛や自然、普遍的な人間性をも描き出し、国境を越えて多くの読者を魅了した。
しかし同時に、イスラエルとの対立を背景に彼の存在は政治的論争を呼び、国内外で賛否が分かれた。
それでも彼は「パレスチナの声」として世界文学に名を刻み、抑圧と希望の両面を歌い上げた詩人である。
名言
- 「私は詩を精神の薬と見なしている」
- 「詩と美は常に平和を生み出している。美しいものを読むとき、人は共存を見いだし、壁は壊される」
- 「パレスチナ人は、明日が今日よりも悪くなると確信している世界で唯一の民族である。明日は常により悪い状況を告げる」
- 「亡命とは地理的な概念以上のものである。人は故郷にいても、自分の家にいても、一つの部屋の中にいても亡命者になり得る」
- 「パレスチナの比喩は、現実のパレスチナよりも強い」
- 「詩の重要性は、詩人が何を語るかではなく、最終的にはどのように語るかによって測られる」
- 「占領下にあること、包囲されていることは、詩にとって良い着想源ではない」
- 「私は詩の力を信じている。それは私に前を見つめ、小さな光を見いだす理由を与えてくれる」
- 「私はもちろんイスラエルを愛してはいない。そうする理由はない。しかし私はユダヤ人を憎んではいない」
- 「イスラエルに暮らすアラブ人にとって、国籍とアイデンティティの間には常に緊張が存在する」
- 「希望がなければ、私たちは失われる」
- 「作家が自分の最初の本が最高だと宣言するなら、それは良くない。私は本から本へと順に進歩していく」
- 「人は一つの場所でしか生まれることができない。しかし亡命や監獄の中で、そして占領と抑圧によって悪夢へと変えられた故郷の中で、何度も死ぬことがある」
- 「皮肉は、私たちが生きる現実の厳しさを乗り越える助けとなり、傷の痛みを和らげ、人々を笑顔にする」
- 「私は自分以外の何かを代表しようと決めたことはない。しかしその自分は集合的記憶に満ちている」
- 「歴史は被害者にも加害者にも嘲笑を向ける」
- 「野蛮に抗うために、詩ができることは人間の儚さへの執着を確認することだけである。それは、軍隊が行進する中で壁の上に生える一本の草のようなものである」
- 「50歳を過ぎて、私は自分の感情をコントロールする方法を学んだ」
- 「パレスチナの人々は人生を愛している」
- 「私は子どもを望んだことがない。おそらく責任を恐れているのだろう」
- 「アラブ人は核兵器を持つ強いイスラエルを受け入れる用意がある。ただイスラエルがその要塞の門を開き、平和を結べばよいのだ」
- 「いかなることも、決してテロを正当化することはできない」
- 「『あなたの詩は複雑で独特なのに、どうして若者や多様な人々を惹きつけるのか』と問われることがある。私はこう答える。『私の成果は、読者が私を信頼し、変化の提案を受け入れてくれることだ』」
- 「私は時に、自分が書く前にすでに読まれているように感じる。母について詩を書くと、パレスチナ人は私の母をパレスチナの象徴と考える。しかし私は詩人として書いているのであり、母は私の母であって、象徴ではない」
- 「私は故郷を築き、言語の中に自らの国家さえも打ち立てた」