エルヴィン・シュレーディンガー

エルヴィン・シュレーディンガー(画像はイメージです)
エルヴィン・シュレーディンガー(画像はイメージです)
  • 1887年8月12日~1961年1月4日(73歳没)
  • オーストリア出身
  • 理論物理学者

人物像と評価

エルヴィン・シュレーディンガー(1887–1961)は、量子力学の基礎理論に革命をもたらした物理学者である。

彼の最大の功績は、1926年に発表された「シュレーディンガー方程式」の提唱であり、これは波動関数を用いて量子系の時間発展を記述する中心的な方程式である。

この波動力学のアプローチは、ハイゼンベルクの行列力学と並ぶ量子力学の基本的枠組みを形成し、彼はその功績により1933年にノーベル物理学賞を受賞した。

また彼は、「シュレーディンガーの猫」という思考実験によって、量子力学の観測問題や重ね合わせ状態の哲学的側面を鋭く突いた。

この議論は量子解釈におけるコペンハーゲン解釈への批判として有名である。

批評としては、シュレーディンガーは哲学的・直観的なアプローチを重視する傾向があり、より形式主義を好んだ同時代の物理学者たちと対立することもあった。

しかし彼の洞察と理論的貢献は、現代物理学の基盤に不可欠なものであり、科学と哲学を架橋するその姿勢も高く評価されている。

名言

  1. 「私はそれが好きではないし、それに関わったことを後悔している」
  2. 「利己主義を大きく制限することなく国家を形成しようとする動物は滅びる」
  3. 「一方で、量子物理学の形而上学的な解釈、すなわち言葉による解釈は、はるかに不確かな基盤の上にある。実際、この四十年以上にわたり、物理学者たちは明確な形而上学的モデルを示すことができていない」
  4. 「このように量子物理学は、宇宙の根本的な一体性を明らかにしている」
  5. 「我々が物体や力として観測するものは、空間の構造における形や変化にすぎない」
  6. 「量子論の数学的枠組みは無数の実験的検証に成功しており、原子現象を首尾一貫して正確に記述するものとして、いまや普遍的に受け入れられている」
  7. 「孤独に生きる動物にとって利己主義は種を保存し改善する傾向をもつ美徳であるが、いかなる共同体においてもそれは破壊的な悪徳となる」
  8. 「世界は私に一度だけ与えられているのであって、存在する世界と知覚される世界という二つがあるのではない。主観と客観はただ一つである。物理学における最近の経験の結果としてその障壁が打ち壊されたと言うことはできない。というのも、その障壁はもともと存在しないからである」
  9. 「科学者が課すものはただ二つ、すなわち真理と誠実であり、それを自らに、そして他の科学者にも課すのである」
  10. 「原子物理学における観測の過程を慎重に分析すると、亜原子粒子は孤立した実体としては意味を持たず、実験の準備とその後の測定との間の相互関係としてのみ理解できることが示されている」