太宰治の名言・格言・警句

- 1909年6月19日~1948年6月13日(38歳没)
- 日本出身
- 小説家
人物像と評価
太宰治は、昭和初期の日本文学を代表する小説家であり、自己の内面を赤裸々に描いた私小説的手法で高く評価された作家である。
代表作『人間失格』『斜陽』などに見られるように、彼の作品は虚無感、孤独、自己否定、反抗心、ユーモアが交錯する独特の文体を特徴とする。
その文学は、戦後の「無頼派」文学の旗手として、従来の道徳や権威に対する懐疑を込めつつ、人間の弱さや哀しみを詩的に描いたものである。
また、彼自身の破滅的な生き方や自殺未遂の経験は作品に反映され、読者の共感と興味を呼んだ。
特に敗戦直後の時代の空気を鋭敏に捉えた作品群は、多くの若者に共感をもたらした。
一方で、過度に感傷的で内向的との批判も存在し、純文学の範疇を超えないとする見方もあった。
しかし現在に至るまで、その率直で痛切な人間描写は多くの読者を惹きつけ続けており、日本近代文学における重要な存在として位置づけられている。
名言
- 「愛情の深すぎる人に有りがちな偽悪趣味」
- 「愛は言葉だ」
- 「愛は、この世に存在する。きっと、在る。見つからぬのは、愛の表現である。その作法である」
- 「愛は、最高の奉仕だ。みじんも、自分の満足を思っては、いけない」
- 「アカルサハ、ホロビノ姿デアロウカ。人モ家モ、暗イウチハマダ滅亡セヌ」
- 「いまの世の人、やさしき一語に飢えて居る。ことにも異性のやさしき一語」
- 「生れて、すみません」
- 「大人とは、裏切られた青年の姿である」
- 「家庭の幸福は諸悪の本」
- 「神に問う。信頼は罪なりや」
- 「教養の無いところに幸福無し。教養とは、まずハニカミを知る事也」
- 「苦悩たかきが故に尊からず」
- 「苦しみ多ければ、それだけ、報いられるところ少し」
- 「芸術の美は所詮、市民への奉仕の美である。花きちがいの大工がいる。邪魔だ」
- 「個人と個人の争いで、しかも、その場の争いで、しかも、その場で勝てばいいのだ」
- 「子供より親が大事、と思いたい。子供のために、などと古風な道学者みたいなことを殊勝らしく考えてみても、何、子供よりも、その親のほうが弱いのだ」
- 「四十になっても五十になっても、くるしさに増減は無いね」
- 「自分には、あざむき合っていながら、清く明るく朗らかに生きている、或いは生き得る自信を持っているみたいな人間が難解なのです」
- 「自分の醜さを、捨てずに育てて行くより他は、無い」
- 「信じるところに現実はあるのであって、現実は決して人を信じさせる事が出来ない」
- 「人生はチャンスだ。結婚もチャンスだ。恋愛もチャンスだ。としたり顔して教える苦労人が多いけれども、私は、そうでないと思う」
- 「青春は、友情の葛藤であります。純粋性を友情に於いて実証しようと努め、互いに痛み、ついには半狂乱の純粋ごっこに落ちいる事もあります」
- 「青年たちは、むきになっては何も言えない。ことに本音を、笑いでごまかす」
- 「そもそも私は『文化』という言葉がきらいである。文のお化けという意味であろうか」
- 「駄目な男というものは、幸福を受取るに当ってさえ、下手くそを極めるものである」
- 「罪多き者は、愛情厚し」
- 「罪、誕生の時刻に在り」
- 「とにかくね、生きているのだからね、インチキをやっているに違いないのさ」
- 「トランプの遊びのように、マイナスを全部あつめるとプラスに変るという事は、この世の道徳には起り得ない事でしょうか」
- 「どんな偉大な思想でも、それが客間の歓談の装飾に利用されるようになった時には、その命が死滅する」
- 「何もしないさきから、僕は駄目だときめてしまうのは、それあ怠惰だ」
- 「なんだか、君たちは芸術家の伝記だけを知っていて、芸術家の仕事をまるっきり知っていないような気がします」
- 「人間の生活の苦しみは、愛の表現の困難に尽きる」
- 「人間のプライドの窮極の立脚点は、あれにも、これにも死ぬほど苦しんだ事があります、と云い切れる自覚ではないか」
- 「人非人でもいいじゃないの。私たちは、生きていさえすればいいのよ」
- 「微笑もて正義を為せ!」
- 「ひとにものを食わせるというのは、電車でひとに席を譲る以上に、苦痛なものである」
- 「人は、念々と動く心の像すべてを真実と見做してはいけません」
- 「人は人に影響を与えることもできず、また、人から影響を受けることもできない」
- 「人を憂える、ひとの淋しさ侘しさ、つらさに敏感な事、これが優しさであり、また人間として一番優れている事じゃないかしら」
- 「不仕合せな人は、他人からかばわれ同情されると、うれしいよりは、いっそうわが身がつらく不仕合せに思われて来るものである」
- 「富士には、月見草がよく似合う」
- 「勉強がわるくないのだ。勉強の自負がわるいのだ」
- 「本当の気品というものは、真黒いどっしりした大きい岩に白菊一輪だ」
- 「万年若衆は、役者の世界である。文学には無い」
- 「無邪気と悪魔とは紙一重である」
- 「倫理は、おれは、こらえることができる。感覚が、たまらぬのだ」
- 「恋愛とは何か。曰く、『それは非常に恥ずかしいものである。』と」
- 「わびしさ。それは、貴重な心の糧だ」
- 「侘びしさというものは、幸福感の一種なのかも知れない」
- 「笑われて、笑われて、つよくなる」