「大衆は常に心理的な疫病の温床である」

カール・グスタフ・ユング
カール・グスタフ・ユングの名言
  • 1875年7月26日~1961年6月6日
  • スイス出身
  • 精神科医、心理学者
  • 分析心理学を創始し、元型や集合的無意識の概念を提唱した

英文

“Masses are always breeding grounds of psychic epidemics.”

日本語訳

「大衆は常に心理的な疫病の温床である」

解説

この名言は、ユングが集団心理とその危険性について述べたものである。彼は、大衆が形成されるとき、個々人の意識が弱まり、無意識の力が集団全体を支配しやすくなると考えた。この状態では、理性や批判的思考が抑制され、感情的な反応や極端な行動が蔓延する「心理的疫病」が発生しやすくなる。

ユングの心理学では、無意識の中に抑圧された感情や集団的な恐怖、欲望が存在し、それが大衆の中で顕在化しやすいとされる。例えば、群衆心理の中では、一人では取らないような過激な行動や暴力的な言動が集団の中で正当化されることがある。歴史的にも、戦争やイデオロギー運動、宗教的狂信が、この「心理的疫病」の例として挙げられる。

現代社会において、この名言は、SNSやメディアによる情報の拡散が集団心理に与える影響を再考する際に重要な警告となる。誤情報や過激な意見が瞬時に広まり、個人が理性的な判断を下す前に感情的な波に巻き込まれることがある。この言葉は、個人が集団の影響を受けすぎないよう、自己の意識を保ち、批判的思考を持つことの重要性を教えている。そして、大衆の力を過小評価せず、その中に潜む危険性を認識することが、より成熟した社会を築く鍵であると示唆している。

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