「愚かな者は『自己』の概念を抱く。賢者は『自己』を築くための土台がないことを理解する。それゆえ、彼は世界の本質を正しく理解し、悲しみによって集められたすべての複合体が再び消え去ることを知り、真理だけが残ると結論づける」

釈迦(ブッダ)
釈迦(ブッダ)の名言
  • 紀元前7世紀~紀元前5世紀
  • インド人
  • 宗教指導者、思想家
  • 仏教を創始し、人々に苦しみの原因とその解決方法を示した「四諦」や「八つの道」を教え、内面的な解放と悟りを目指す修行の道を広めた

英文

“The foolish man conceives the idea of ‘self.’ The wise man sees there is no ground on which to build the idea of ‘self;’ thus, he has a right conception of the world and well concludes that all compounds amassed by sorrow will be dissolved again, but the truth will remain.”

日本語訳

「愚かな者は『自己』の概念を抱く。賢者は『自己』を築くための土台がないことを理解する。それゆえ、彼は世界の本質を正しく理解し、悲しみによって集められたすべての複合体が再び消え去ることを知り、真理だけが残ると結論づける」

解説

「自己」という概念の幻想と真理の不変性について説くこの釈迦の教えは、仏教における無我(アナッタ)の思想を表している。釈迦は、「自己」という固定的な存在が幻想であり、真に存在するものは、個々の現象や経験の集合に過ぎないと考えていた。愚かな者は「自己」が実在すると信じ、執着を生むが、賢い者は「自己」に確固たる根拠がないことを見抜き、真実の理解に達する。これによって、苦しみの源である執着を手放し、世界をより深く理解できると教えている。

現代におけるアイデンティティの捉え方と執着の克服にも、この教えは示唆を与えている。私たちは時に、自分の肩書きや役割、他者からの評価に基づいて自己を定義しがちであるが、それらは本質的に一時的なものである。この「自己」に対する執着が、競争や不安、自己中心的な行動を生む。しかし、「自己」という概念にとらわれず、自己を様々な関係性や変化の一部として捉えることで、他者への共感や思いやりが生まれ、心が安定する。釈迦の教えは、「自分」にこだわらない生き方がより平和な心をもたらすことを示している。

すべての複合体は無常であり、真理だけが永続するという理解は、個人の成長や人生の理解においても重要である。釈迦の言葉が示すように、私たちが人生で築くものや得るものは、いずれ消え去るものであるが、真理は常に変わらずに存在する。真理を見つめ、そこに基づいて生きることで、人生の変化や困難にも揺るがず、永続するものを見出すことができる。この教えは、真理を通して人生の真の価値を知り、変化に動じない生き方を説いている。

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