「この土地は君の土地であり、僕の土地でもある──確かにそうだ。だが、世界を動かしているのは、音楽なんて決して聴かない連中なのだ」

- 1941年5月24日~
- アメリカ合衆国出身
- シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者
英文
“This land is your land and this land is my land, sure, but the world is run by those that never listen to music anyway.”
日本語訳
「この土地は君の土地であり、僕の土地でもある──確かにそうだ。だが、世界を動かしているのは、音楽なんて決して聴かない連中なのだ」
解説
この言葉は、理想と現実の乖離を痛烈に突いた社会批判である。前半の一節は、アメリカのフォークソング「This Land Is Your Land」からの引用で、民主主義と平等を象徴する理想的な世界観を表している。しかし、ディランはその直後に現実はそうではない、と冷徹に切り捨てている。つまり、人間性や感性を象徴する音楽を理解しない者たちが、権力を握っているという逆説が示されている。
この発言は、1960年代以降のディランの立場──反戦運動や公民権運動に共鳴しつつも、特定の政治勢力にも距離を置くという、芸術家としての独立性と批判精神を象徴している。音楽は個人の感情や理想を表現する手段であるが、支配層はそのような感受性を持たず、システムや利益によって世界を動かしているという指摘が含まれている。
現代においても、政治や経済の意思決定が人間らしさや文化的価値を無視して進められるという不満は広く存在する。この名言は、感性を持たない者による冷徹な支配構造に対する警鐘であり、同時に音楽や芸術がいかに世界の現実から疎外されているかを痛感させる。理想を歌う者と、それを無視する者との間にある断絶を、鋭く言い当てた一句である。
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