「現代の人々は今もなお、60年代の食べ残しで生きている。あの頃の音楽や思想は、今も使い回されているんだ」

ボブ・ディランの名言・格言・警句
  • 1941年5月24日~
  • アメリカ合衆国出身
  • シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者

英文

“People today are still living off the table scraps of the sixties. They are still being passed around – the music and the ideas.”

日本語訳

「現代の人々は今もなお、60年代の食べ残しで生きている。あの頃の音楽や思想は、今も使い回されているんだ」

解説

この言葉は、1960年代という時代の影響力の大きさと、それに過度に依存し続ける現代文化への鋭い批判を表している。ディランはその時代の象徴的存在でありながらも、ここでは60年代の遺産にすがるだけで、新たな創造や変革を起こそうとしない風潮に強い不満を示している。「table scraps(食べ残し)」という表現には、かつて新鮮で力強かったものが、今では残飯のように再利用されているという、痛烈な皮肉が込められている。

ディラン自身は、常に変化を恐れず、音楽的・思想的な進化を続けてきたアーティストである。その彼がこのように語るのは、過去にすがることで現在の表現や思考が停滞している現状への警鐘といえる。つまり、60年代の自由や反体制の精神を反復するだけでは、本質的な創造にはならないというメッセージである。

現代においても、レトロブームや過去の音楽・文化の再評価が進む一方で、新しい価値の創造が求められる時代でもある。この名言は、過去の栄光や思想を繰り返すだけでは不十分であり、今この時代の言葉と音を見つけ出さなければならないという、創作者と受け手双方への挑戦である。偉大な時代に甘んじるのではなく、それを超えていけというディランの詩人としての誠実さが、この言葉には込められている。

感想はコメント欄へ

この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?


申し込む
注目する
guest

0 Comments
最も古い
最新 高評価
インラインフィードバック
すべてのコメントを見る