「いいかい、僕がデビューした頃の主流文化といえば、シナトラ、ペリー・コモ、アンディ・ウィリアムス、それに『サウンド・オブ・ミュージック』だった。あの頃も僕がそこに収まる余地はなかったし、今だってもちろんないんだ」

ボブ・ディランの名言・格言・警句
  • 1941年5月24日~
  • アメリカ合衆国出身
  • シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者

英文

“Look, when I started out, mainstream culture was Sinatra, Perry Como, Andy Williams, Sound of Music. There was no fitting into it then and of course, there’s no fitting into it now.”

日本語訳

「いいかい、僕がデビューした頃の主流文化といえば、シナトラ、ペリー・コモ、アンディ・ウィリアムス、それに『サウンド・オブ・ミュージック』だった。あの頃も僕がそこに収まる余地はなかったし、今だってもちろんないんだ」

解説

この言葉は、ディランが自らの芸術的立ち位置を、主流文化からの明確な逸脱として自覚していたことを語る重要な証言である。彼は、デビュー当時のアメリカ音楽界が、甘美で整った大衆的な娯楽に支配されていたことを指摘し、そこに自分が属することは最初から不可能だったと断言している。そして、その「場違いさ」は今もなお変わっていないと語ることで、一貫して体制に迎合しない創作者としての姿勢を示している

ディランの音楽は、当初からフォークソングの伝統と社会的なメッセージを内包し、当時の主流の「洗練された」音楽とは一線を画していた。その後も彼は、ロック、カントリー、ゴスペルなどを横断しながら、決して流行や商業主義に合わせることなく、自らの表現を追求し続けた。この発言は、そうしたアウトサイダーであることの誇りと孤独、そして自立した芸術精神を力強く表している。

現代でも、「主流に合わせること」が成功の条件とされがちな中で、この名言は自分にしかできない表現を貫くことの意味と価値を改めて考えさせる。「当てはまらない」ことは敗北ではなく、むしろ個性と真実の証である──ディランのこの言葉は、すべての表現者にとっての静かな励ましであり、鋭い自己定義である。

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