「私はたいてい実際の生活から絵を描く。そこから始めなければならない。本物の人々、本物の街角、舞台裏の光景、生のモデル、絵画、写真、演出されたセット、建築物、グリッド、グラフィックデザイン。うまくいかせるために必要なものは、何だって使う」

- 1941年5月24日~
- アメリカ合衆国出身
- シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者
英文
“I paint mostly from real life. It has to start with that. Real people, real street scenes, behind the curtain scenes, live models, paintings, photographs, staged setups, architecture, grids, graphic design. Whatever it takes to make it work.”
日本語訳
「私はたいてい実際の生活から絵を描く。そこから始めなければならない。本物の人々、本物の街角、舞台裏の光景、生のモデル、絵画、写真、演出されたセット、建築物、グリッド、グラフィックデザイン。うまくいかせるために必要なものは、何だって使う」
解説
この言葉は、ディランが視覚芸術においても「現実の観察」から出発し、それをあらゆる手段で再構築するという創作哲学を明快に語っている。彼にとって芸術は、想像だけに頼るものではなく、実際の風景、人間、構造物といった「目に見える現実」に深く根ざしている。そこからスタートしつつも、それをどう形にするかについては自由で柔軟な態度をとっている。
注目すべきは、「whatever it takes to make it work(うまくいかせるために必要なものは、何だって使う)」という一節である。これは、芸術表現における目的と手段の関係を明確にし、形式や純粋性にとらわれず、本質を表現することに重きを置いていることを示している。リアルな素材から出発し、そこに創造の工夫と手法を加える──これはディランが音楽、詩、そして絵画において一貫してきたアプローチである。
現代においても、創作はしばしば「リアル vs フィクション」「アナログ vs デジタル」といった対立軸で語られるが、この名言は現実から目を逸らさず、かつそれを自在に再構成する柔軟さこそが創造の源であるという真理を示している。現実と創造のあいだを自由に行き来しながら、「うまくいく」表現を目指す姿勢──それがディランの芸術観であり、その核にはリアルを見つめる目と、自由を恐れぬ手がある。
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