「僕と宗教ということについて言えば、これは率直な真実だ──宗教性や哲学を、僕は音楽の中に見出すんだ。他のどこにも見出すことはできない」

ボブ・ディランの名言・格言・警句
  • 1941年5月24日~
  • アメリカ合衆国出身
  • シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者

英文

“Here’s the thing with me and the religious thing. This is the flat-out truth: I find the religiosity and philosophy in the music. I don’t find it anywhere else.”

日本語訳

「僕と宗教ということについて言えば、これは率直な真実だ──宗教性や哲学を、僕は音楽の中に見出すんだ。他のどこにも見出すことはできない」

解説

この言葉は、宗教的・哲学的な探求を伝統的な教義や制度にではなく、「音楽」という表現の中に見出すというディランの信念を明確に語ったものだ。彼にとって音楽は、ただの娯楽や技術ではなく、人間の内面と宇宙の真理をつなぐ、もっとも本質的で神聖なメディアである。教会や経典ではなく、旋律と歌詞の中に精神的な意味を探し出す姿勢がこの言葉に凝縮されている。

1970年代後半、ディランは一時期キリスト教的回心を経験し、宗教的メッセージを含む楽曲を発表したが、その後も彼は一つの宗派に縛られることなく、音楽を通して宗教的真理や人生の意味を追い続けている。この発言は、その姿勢を正直に言語化したものであり、形式よりも体験、教義よりも響きの中に真理を感じ取る感性を物語っている。

現代においても、宗教や哲学が難解な理論や儀式に閉じ込められる中で、この名言は、美と音の中にこそ精神的な洞察が宿っているという直感的な信仰を思い出させてくれる。音楽は心を通して語る宗教であり、詩人の哲学である──ディランのこの一言は、芸術が持つ深い宗教性と哲学性を静かに、しかし力強く肯定している。

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