「注目されることは重荷になり得る。イエスは注目されたことで十字架にかけられた。だから私は、よく姿を消すんだ」

ボブ・ディランの名言・格言・警句
  • 1941年5月24日~
  • アメリカ合衆国出身
  • シンガーソングライター、詩人、ノーベル文学賞受賞者

英文

“Being noticed can be a burden. Jesus got himself crucified because he got himself noticed. So I disappear a lot.”

日本語訳

「注目されることは重荷になり得る。イエスは注目されたことで十字架にかけられた。だから私は、よく姿を消すんだ」

解説

この言葉は、名声と注目に対するディランの警戒と自己防衛の姿勢を、宗教的な比喩を交えて表現した鋭い発言である。「注目されること」は一般的には成功の証とされるが、ディランにとってそれは創作の自由や個人の安寧を脅かす重荷でもある。イエス・キリストを引き合いに出すことで、注目が極端な結果=犠牲をもたらしうることへの皮肉と真剣な警告が含まれている。

ディランは、1960年代以降「世代の代弁者」「預言者」として過剰に神格化され、その重圧から逃れるためにジャンルや姿勢を幾度も変化させ、自ら「失踪」するように姿をくらませてきた。この発言は、そうした行動の根底にある思考を明示しており、公的な顔を持つことの危険と、それに抗うための戦略的沈黙が見て取れる。

現代においても、注目されることが価値とされるSNS文化の中で、この名言は「見られること」が人間にもたらすプレッシャーと代償への深い洞察を与える。本当の自由や創造は、静けさと孤独の中にある──ディランのこの言葉は、注目される者の孤独と、沈黙の中にこそ守られる自己の核を強く語っている。

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