「すべての理性の営みは、最終的に感情への降伏に終わる」

• 1623年6月19日～1662年8月19日
• フランス出身
• 哲学者、数学者、物理学者、キリスト教神学者

英文

“All of our reasoning ends in surrender to feeling.”

日本語訳

「すべての理性の営みは、最終的に感情への降伏に終わる」

解説

この言葉は、パスカルが一貫して主張した人間の理性と感情の力関係を端的に表現している。彼は、論理や理性がいかに精緻で強固に構築されていても、最終的な判断や選択は感情、特に心の動きによって左右されるという現実を見抜いていた。つまり、人間は理性的な存在であると同時に、感情によって突き動かされる存在でもあるのだ。

この見解は、パスカルの有名な思想「心には理性の知らぬ理がある」とも深く通じており、彼にとって真の認識や決断とは、理性の導きと心の感受が一致する地点で成立するものであった。特に神や愛、死といった理性の限界を超える問題においては、理性は最後には心に道を譲るほかないとする彼の宗教的・哲学的立場がこの言葉に凝縮されている。

現代においても、重大な選択や信念の形成において、論理だけでは人を動かすことができないという事実は広く知られている。感動、共感、恐れ、愛といった感情が、理屈を超えて行動を決定づける力を持っているという点で、この名言は深い心理的真実を語っている。パスカルは、理性の限界を認めたうえで、感情を知的判断の敵ではなく不可欠な要素として再評価したのである。

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