「願わくは、すべての国々に自由への愛だけでなく、人間の権利についての深い理解が広まりますように。そうすれば、哲学者は世界のどこに足を踏み入れても『ここが私の祖国だ』と言えるであろう」

- 1706年1月17日~1790年4月17日
- アメリカ合衆国出身
- 政治家、発明家、科学者、著述家
- アメリカ独立戦争で重要な役割を果たし、アメリカ合衆国の建国の父の一人として知られる。電気に関する研究で著名な発明家であり、定常波や避雷針の発明者。外交官としても活躍し、フランスとの友好条約締結に尽力した。
英文
“God grant that not only the love of liberty but a thorough knowledge of the rights of man may pervade all the nations of the earth, so that a philosopher may set his foot anywhere on its surface and say: ‘This is my country.'”
日本語訳
「願わくは、すべての国々に自由への愛だけでなく、人間の権利についての深い理解が広まりますように。そうすれば、哲学者は世界のどこに足を踏み入れても『ここが私の祖国だ』と言えるであろう」
解説
この名言は、自由の精神と人権意識が地球上のすべての国に根づくことを願う、ベンジャミン・フランクリンの普遍的な啓蒙思想を体現したものである。彼は18世紀のアメリカ独立運動の中心人物であり、自由とは単なる政治体制ではなく、理性と教育によって支えられた市民の自覚によって初めて実現されるものだと信じていた。この言葉は、自由と権利が人類共通の財産であるべきだという普遍主義的理想を、静かに、しかし力強く訴えている。
現代においても、国境や文化を越えて普遍的な人権を尊重する価値観は、民主主義社会の根幹をなしている。だが同時に、それが未だに実現されていない地域や状況があることもまた事実である。フランクリンのこの名言は、真に自由な世界とは「どこにいても自分の尊厳が守られ、理性と正義に従って生きられる社会」であるという理想を掲げている。そして、その実現には単なる感情的な「自由への愛」だけでなく、知識と理解による確固たる基盤が必要であると説いている。
この言葉にはまた、哲学者という存在が象徴する「普遍的な理性と真理の探求者」が、国境に縛られず、世界全体を自らの居場所と感じられるような社会を築くべきだという願いが込められている。フランクリンは、国家の利益よりも人類の利益、法の支配よりも正義の原理を優先すべきだと考えていた。「どこでも人が自由に生きられる世界を」――この名言は、理性と自由、そして人類の連帯への信頼に満ちた、啓蒙時代からの壮大な願いである。
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