「国家の運命は、その生殖能力と密接に結びついている。すべての国家と帝国は、出生率が低下したときに、まず最初に衰退の兆しを感じた」

- 1883年7月29日~1945年4月28日
- イタリア王国出身
- 政治家、新聞編集者、独裁者
- イタリア統一後初のファシスト政権を築き、ファシズムの創始者として知られる。1922年に首相に就任し、全体主義的体制を確立。第二次世界大戦では枢軸国側として参戦するが、戦争末期に失脚し、処刑された。20世紀の独裁政治を象徴する存在である。
英文
“The fate of nations is intimately bound up with their powers of reproduction. All nations and all empires first felt decadence gnawing at them when their birth rate fell off.”
日本語訳
「国家の運命は、その生殖能力と密接に結びついている。すべての国家と帝国は、出生率が低下したときに、まず最初に衰退の兆しを感じた」
解説
この言葉は、国家の存続と繁栄は人口の増加、すなわち出生率に依存しているというムッソリーニの人口政策観を明確に示している。彼は、出生率の低下を国家衰退の予兆と捉え、人口増加を国家的使命として位置づけた。ここには、国家の力を「量」で計る発想が色濃く表れている。
実際にファシスト政権下のイタリアでは、1930年代に「バトル・フォー・バース(出生の戦い)」と称する政策が実施され、多産家庭への奨励金、独身者への課税などによって人口増加が奨励された。これは、軍事力・労働力・経済力を維持するためには人口が不可欠であるという全体主義的な国家観に基づいていた。出生率は単なる社会統計ではなく、国家戦略の中核に位置づけられたのである。
現代でも、少子化は多くの国で社会問題となっているが、ムッソリーニのようにそれを国力の衰退や文明の終末と結びつける議論は警戒されている。個人の生き方やジェンダーの自由を尊重する視点からは、この名言は国家による生殖統制の危険性と、人口を政治の道具とする思想の象徴として記憶されるべきである。
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