「すべては国家の中にあり、国家の外には何もなく、国家に反するものは存在しない」

- 1883年7月29日~1945年4月28日
- イタリア王国出身
- 政治家、新聞編集者、独裁者
- イタリア統一後初のファシスト政権を築き、ファシズムの創始者として知られる。1922年に首相に就任し、全体主義的体制を確立。第二次世界大戦では枢軸国側として参戦するが、戦争末期に失脚し、処刑された。20世紀の独裁政治を象徴する存在である。
英文
“All within the state, nothing outside the state, nothing against the state.”
日本語訳
「すべては国家の中にあり、国家の外には何もなく、国家に反するものは存在しない」
解説
この言葉は、ファシズム体制における国家の絶対性を最も端的に表現したスローガンである。ムッソリーニは、国家を単なる行政機構ではなく、文化、経済、道徳、個人の生き方までも包摂する全体的な存在と見なしていた。ここでは、国家があらゆる価値の源泉であり、それに服従しないものは存在してはならないという全体主義の本質が明示されている。
この思想は、自由主義や民主主義とは正反対であり、個人の自由、思想の多様性、市民社会の独立性を完全に否定するものといえる。ファシスト政権下のイタリアでは、政党の禁止、労働組合の統制、言論の検閲、教育や宗教の国家化が進められ、この名言は実際の政治制度の背後にある原理として具現化された。
現代においても、「国家のため」との名目で自由を制限する動きは各地に存在する。この名言は、国家の名のもとにどこまで人権や多様性が抑圧されうるかという問いを私たちに突きつけている。政治的忠誠が絶対化されたときに何が失われるのかを理解するうえで、歴史的に最も象徴的かつ警戒すべき表現である。
感想はコメント欄へ
この名言に触れて、あなたの感想や名言に関する話などを是非コメント欄に書いてみませんか?
申し込む
0 Comments
最も古い