「すべての貧しい人を援助することは、個々の人間の力と能力をはるかに超えている。貧者の救済は社会全体の責務である」

- 1632年11月24日~1677年2月21日(44歳没)
- オランダ出身(ポルトガル系ユダヤ人)
- 哲学者、合理主義思想家
英文
”To give aid to every poor man is far beyond the reach and power of every man. Care of the poor is incumbent on society as a whole.”
日本語訳
「すべての貧しい人を援助することは、個々の人間の力と能力をはるかに超えている。貧者の救済は社会全体の責務である」
解説
この言葉は、スピノザの社会と福祉に対する実践的視点を示している。彼は人間を孤立した存在としてではなく、相互依存の中で生きる社会的存在として捉えた。そのため、貧困への対応を個人の慈善や善意に委ねるのではなく、社会全体の制度的責任として位置づけたのである。これは、個人の力には限界があり、社会的連帯によってこそ安定と公正が実現されるという合理的理解に基づいている。
この考え方は、スピノザの政治哲学とも密接に関連している。彼は国家の目的を支配ではなく、人々の安全と自由の保障にあるとした。したがって、貧困問題を放置すれば社会全体の秩序と自由が損なわれる。ゆえに貧困救済は道徳的義務であると同時に、社会の安定を守るための理性的な施策でもある。
現代においても、この思想は大きな意義を持つ。福祉国家の制度や社会保障の仕組みは、まさにスピノザが述べたように「社会全体の責任」として築かれてきた。個人の善意だけに依存するのではなく、制度として貧困を解決する努力が必要であるという視点は、今日の社会政策にも深く通じている。
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