「人がこれやあれをできないと想像している限り、それをしないように自らを決定しているのであり、その結果として、それを行うことは彼にとって不可能である」

バールーフ・デ・スピノザの名言・格言・警句
バールーフ・デ・スピノザの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1632年11月24日~1677年2月21日(44歳没)
  • オランダ出身(ポルトガル系ユダヤ人)
  • 哲学者、合理主義思想家

英文

”So long as a man imagines that he cannot do this or that, so long as he is determined not to do it; and consequently so long as it is impossible to him that he should do it.”

日本語訳

「人がこれやあれをできないと想像している限り、それをしないように自らを決定しているのであり、その結果として、それを行うことは彼にとって不可能である」

解説

この言葉は、スピノザの想像と自己決定の関係を示している。人間はしばしば「自分にはできない」と思い込み、その思い込み自体によって行為の可能性を閉ざしてしまう。つまり、不可能にしているのは外的条件ではなく、自分の心の中の観念なのである。この点で、想像は人間の行為を制限する強力な要因となる。

この思想は、スピノザの決定論的枠組みと整合する。彼にとって人間の行為は原因と必然に基づいて決定されるが、その中には観念のあり方も含まれる。誤った観念に支配されれば、それが行為の不可能性を生む。しかし理性によって正しい認識を得れば、可能性は広がる。したがって、自由と行為の可能性は理性的認識に依存しているといえる。

現代においても、この洞察は重要である。学習や仕事、人間関係において「自分には無理だ」と思い込めば、それ自体が行為を阻む原因となる。他方で、理性に基づいて状況を正しく理解し、自己の可能性を認めるとき、行動は現実のものとなる。スピノザの言葉は、自己の観念が行為の可能性を決めるという心理のメカニズムを鋭く突いている。

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