「平和とは戦争がないことではなく、徳であり、心の状態であり、善意・信頼・正義の傾向である」

バールーフ・デ・スピノザの名言・格言・警句
バールーフ・デ・スピノザの名言・格言・警句(画像はイメージです)
  • 1632年11月24日~1677年2月21日(44歳没)
  • オランダ出身(ポルトガル系ユダヤ人)
  • 哲学者、合理主義思想家

英文

”Peace is not an absence of war, it is a virtue, a state of mind, a disposition for benevolence, confidence, justice.”

日本語訳

「平和とは戦争がないことではなく、徳であり、心の状態であり、善意・信頼・正義の傾向である」

解説

この言葉は、スピノザの平和の積極的理解を端的に表している。彼は平和を単に戦争がない状態、すなわち消極的な静けさとみなさず、むしろ人間の心と社会の在り方に根ざした積極的な徳と定義した。したがって、武力が沈黙していても、人々の間に憎悪や不信があれば、それは平和ではない。平和とは、内面的な安定と徳に基づいた調和である。

この思想は、スピノザの政治哲学とも結びついている。彼にとって国家の目的は支配や服従ではなく、人々が理性のもとに共存できる条件を整えることにあった。そのため平和は法律や権力による強制ではなく、善意・信頼・正義といった徳の実践からのみ生まれる。つまり、平和は制度だけでなく、人々の心に宿るべき徳として理解される。

現代においても、この言葉は示唆に富んでいる。国際的な停戦や治安維持は戦争を止める手段にすぎず、真の平和を保証するものではない。社会において不平等や差別が続けば、人々の間に不信と対立が残る。スピノザの言葉は、平和を「戦争がない状態」と矮小化せず、徳と心の在り方から築かれるものと理解することの重要性を教えている。

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