「恐れは希望なしには存在せず、希望もまた恐れなしには存在しない」

- 1632年11月24日~1677年2月21日(44歳没)
- オランダ出身(ポルトガル系ユダヤ人)
- 哲学者、合理主義思想家
英文
”Fear cannot be without hope nor hope without fear.”
日本語訳
「恐れは希望なしには存在せず、希望もまた恐れなしには存在しない」
解説
この言葉は、スピノザの感情論における希望と恐れの関係を示している。彼にとって感情は明確に定義可能な心理的状態であり、希望とは「ある事柄が起こると期待する不確実な喜び」、恐れとは「ある事柄が起こると予期する不確実な悲しみ」と理解された。両者はいずれも未来の不確実性に基づいており、希望には常に失望の恐れが伴い、恐れには常に救いへの希望が潜むという構造を持つ。
この考えは、人間が未来を完全に予見できない存在であることに根ざしている。理性による確かな認識に基づかない限り、人間の感情は不安定で揺れ動く。したがって、希望と恐れは対立するものではなく、同じ不確実性から生じる裏表の感情として理解できる。スピノザにとって重要なのは、この不安定な感情に支配されず、理性によって未来を理解しようと努めることである。
現代においても、この洞察は有効である。例えば、試験や仕事の結果を待つとき、人は「成功するかもしれない」という希望と「失敗するかもしれない」という恐れを同時に抱く。経済や政治の不安定な状況においても同様である。スピノザの言葉は、希望と恐れが切り離せない感情であることを自覚し、理性によってそれを乗り越える努力の必要性を示している。
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