「マイケル・ブラウンの死に対して沸き起こる激情や怒りを理解する一方で、略奪や銃の携行、さらには警察への攻撃によってその怒りに屈することは、緊張を高め、混乱を引き起こすだけである」

1961年8月4日~
アメリカ合衆国出身
政治家、弁護士、作家
バラク・オバマは、アメリカ合衆国第44代大統領として、2009年から2017年まで務めた人物である。
最大の功績は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを成立させたことであり、数千万人の無保険者に保険加入の道を開いた。また、パリ協定への参加を主導し、気候変動対策にも取り組んだ。外交面ではキューバとの国交正常化を実現し、イラン核合意にも署名した。
しかし、政策推進にあたり議会との対立が激化し、分断を深めたとの批判もある。人種問題や中東政策への対応も賛否が分かれている。彼の理想主義的な演説と実務とのギャップを指摘する声も存在する。
英文
“While I understand the passions and the anger that arise over the death of Michael Brown, giving into that anger by looting or carrying guns, and even attacking the police, only serves to raise tensions and stir chaos.”
日本語訳
「マイケル・ブラウンの死に対して沸き起こる激情や怒りを理解する一方で、略奪や銃の携行、さらには警察への攻撃によってその怒りに屈することは、緊張を高め、混乱を引き起こすだけである」
解説
この発言は、バラク・オバマがマイケル・ブラウン射殺事件を受けた抗議活動に対する冷静な呼びかけを行ったものである。彼は、怒りや悲しみといった感情が正当であることを認めながらも、暴力や違法行為に訴えることは問題解決にはならず、むしろ事態を悪化させると強く警告している。特に「only serves to raise tensions and stir chaos(緊張を高め、混乱を引き起こすだけである)」という表現は、感情に流された行動の危険性とその結果への現実的な警鐘を鳴らしている。
背景には、2014年、ミズーリ州ファーガソンで起こった黒人青年マイケル・ブラウン射殺事件と、それに端を発する全米規模の抗議運動がある。オバマは、人種的不正義に対する怒りを正面から受け止めながらも、暴力ではなく、法と秩序の中で変革を追求すべきだと訴えた。この発言は、社会的正義を求める運動においても冷静さと建設的行動が不可欠であるという信念を示している。
現代においてもこのメッセージは重要である。たとえば、社会的抗議活動が過激化する場面において、オバマのこの発言は、怒りを理解しつつも、正義を実現するためには暴力ではなく対話と制度改革を通じて進むべきであるという普遍的な教訓を力強く伝えている。
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