「国家安全保障上の主な脅威を考えるとき、真っ先に思い浮かぶのは核拡散、ならず者国家、そして国際テロリズムである。しかし、我々の海の向こうには、もう一つの種類の脅威が潜んでいる。それは人間ではなく自然からもたらされる――鳥インフルエンザのパンデミックである」

1961年8月4日~
アメリカ合衆国出身
政治家、弁護士、作家
バラク・オバマは、アメリカ合衆国第44代大統領として、2009年から2017年まで務めた人物である。
最大の功績は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを成立させたことであり、数千万人の無保険者に保険加入の道を開いた。また、パリ協定への参加を主導し、気候変動対策にも取り組んだ。外交面ではキューバとの国交正常化を実現し、イラン核合意にも署名した。
しかし、政策推進にあたり議会との対立が激化し、分断を深めたとの批判もある。人種問題や中東政策への対応も賛否が分かれている。彼の理想主義的な演説と実務とのギャップを指摘する声も存在する。
英文
“When we think of the major threats to our national security, the first to come to mind are nuclear proliferation, rogue states and global terrorism. But another kind of threat lurks beyond our shores, one from nature, not humans – an avian flu pandemic.”
日本語訳
「国家安全保障上の主な脅威を考えるとき、真っ先に思い浮かぶのは核拡散、ならず者国家、そして国際テロリズムである。しかし、我々の海の向こうには、もう一つの種類の脅威が潜んでいる。それは人間ではなく自然からもたらされる――鳥インフルエンザのパンデミックである」
解説
この言葉は、国家安全保障の概念を従来の軍事的脅威だけに限定せず、自然災害や感染症のリスクも含めて考えるべきだという新たな視点を提示している。オバマは、核兵器やテロといった目に見える脅威だけでなく、自然界からもたらされる脅威にも国家は備えねばならないと訴えた。
この発言は、2000年代半ばに世界的な懸念となっていた鳥インフルエンザ(H5N1型ウイルス)の流行リスクを背景にしている。当時、感染症によるパンデミックが社会や経済、さらには国の安全保障にまで及ぼす影響が強く認識され始めていた。オバマはこの新しいリスク認識を国民に促す意図で発言したと考えられる。
現代においても、この視点は極めて重要である。新型コロナウイルスの世界的流行は、感染症がもたらす社会的・経済的混乱が、国家運営にどれほど深刻な影響を与えるかを証明した。したがって、この名言は、軍事力だけでなく、医療体制や科学的予測能力を国家安全保障の重要な柱として捉えるべきだという教訓を、現代社会に強く示唆している。
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