「危険なのは、失業率が高いままで、仕事を持つ人々の収入は上がり、企業は大きな利益を上げるものの、より少ない労働力で多くを成し遂げる術を身につけ、雇用を増やさないという新たな常態に私たちが取り残されることだ」

1961年8月4日~
アメリカ合衆国出身
政治家、弁護士、作家
バラク・オバマは、アメリカ合衆国第44代大統領として、2009年から2017年まで務めた人物である。
最大の功績は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを成立させたことであり、数千万人の無保険者に保険加入の道を開いた。また、パリ協定への参加を主導し、気候変動対策にも取り組んだ。外交面ではキューバとの国交正常化を実現し、イラン核合意にも署名した。
しかし、政策推進にあたり議会との対立が激化し、分断を深めたとの批判もある。人種問題や中東政策への対応も賛否が分かれている。彼の理想主義的な演説と実務とのギャップを指摘する声も存在する。
英文
“What is a danger is that we stay stuck in a new normal where unemployment rates stay high, people who have jobs see their incomes go up, businesses make big profits. But they’ve learned to do more with less, and so they don’t hire.”
日本語訳
「危険なのは、失業率が高いままで、仕事を持つ人々の収入は上がり、企業は大きな利益を上げるものの、より少ない労働力で多くを成し遂げる術を身につけ、雇用を増やさないという新たな常態に私たちが取り残されることだ」
解説
この発言は、バラク・オバマが2010年以降の経済回復過程における新たな懸念を指摘したものである。彼は、経済指標が回復しても、雇用創出が伴わない「雇用なき成長」が常態化する危険性を警告している。特に「do more with less(より少ないものでより多くを成し遂げる)」という表現は、企業の効率重視の経営が、労働者への恩恵を十分に還元しない構造を鋭く描写している。
背景には、リーマン・ショック後の企業合理化と技術革新による労働需要の低下がある。多くの企業がコスト削減のための自動化やリストラを進め、利益を回復させた一方で、中間層や非正規労働者へのしわ寄せが問題となった。オバマは、単なる経済成長だけでなく、包摂的で持続可能な成長を目指すべきだと訴えた。
現代においてもこの問題意識は非常に重要である。たとえば、AIと自動化が加速する現代社会において、成長と雇用、所得分配のバランスをどう取るかは世界共通の課題である。オバマのこの発言は、表面的な経済回復だけで満足せず、すべての人が恩恵を受けられる経済構造を築くべきだという強い警鐘を鳴らしている。
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