「必要な4兆ドルの歳出削減を、医療研究や教育資金、食品検査官、気象サービスといったものに支出されている予算の12%だけを削ることで達成することはできない。そして、高齢者にメディケアの負担を増やさせるだけでも実現できない」

1961年8月4日~
アメリカ合衆国出身
政治家、弁護士、作家
バラク・オバマは、アメリカ合衆国第44代大統領として、2009年から2017年まで務めた人物である。
最大の功績は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを成立させたことであり、数千万人の無保険者に保険加入の道を開いた。また、パリ協定への参加を主導し、気候変動対策にも取り組んだ。外交面ではキューバとの国交正常化を実現し、イラン核合意にも署名した。
しかし、政策推進にあたり議会との対立が激化し、分断を深めたとの批判もある。人種問題や中東政策への対応も賛否が分かれている。彼の理想主義的な演説と実務とのギャップを指摘する声も存在する。
英文
“We can’t get to the $4 trillion in savings that we need by just cutting the 12 percent of the budget that pays for things like medical research and education funding and food inspectors and the weather service. And we can’t just do it by making seniors pay more for Medicare.”
日本語訳
「必要な4兆ドルの歳出削減を、医療研究や教育資金、食品検査官、気象サービスといったものに支出されている予算の12%だけを削ることで達成することはできない。そして、高齢者にメディケアの負担を増やさせるだけでも実現できない」
解説
この発言は、バラク・オバマが財政健全化に向けた包括的なアプローチの必要性を強調したものである。彼は、連邦予算のごく一部だけを削減するだけでは巨額の財政再建目標を達成できないこと、また高齢者に過剰な負担を課すだけでも不公平であり、現実的ではないことを指摘している。特に「can’t get to the $4 trillion in savings by just cutting the 12 percent(12%だけ削っても4兆ドルの削減には届かない)」という表現は、部分的・安易な対策では問題解決にならないという現実認識を鮮やかに示している。
背景には、オバマ政権下で進められていた連邦債務削減と予算交渉がある。当時、医療や教育といった公共投資を維持しつつ、公平な負担のもとで財政健全化を図るための困難なバランス調整が求められていた。この発言は、単純な歳出削減論に対して、現実的かつ包括的な財政政策を主張するリーダーシップを体現している。
現代においてもこのメッセージは非常に重要である。たとえば、財政赤字や社会保障改革をめぐる議論が続く中で、オバマのこの発言は、単なる支出削減や特定層への負担押し付けではなく、持続可能で公平な財政再建を目指すべきであるという普遍的な教訓を力強く伝えている。
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