「適切な監視がなければ、責任ある企業は、不正直で不正な企業と競争を強いられることになる。そうした企業は、環境を損ない、中間層の家庭を食い物にし、さらには金融システム全体を脅かすような行為にも何の制約も受けない」
1961年8月4日～
アメリカ合衆国出身
政治家、弁護士、作家
バラク・オバマは、アメリカ合衆国第44代大統領として、2009年から2017年まで務めた人物である。
最大の功績は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを成立させたことであり、数千万人の無保険者に保険加入の道を開いた。また、パリ協定への参加を主導し、気候変動対策にも取り組んだ。外交面ではキューバとの国交正常化を実現し、イラン核合意にも署名した。
しかし、政策推進にあたり議会との対立が激化し、分断を深めたとの批判もある。人種問題や中東政策への対応も賛否が分かれている。彼の理想主義的な演説と実務とのギャップを指摘する声も存在する。
英文
“In the absence of sound oversight, responsible businesses are forced to compete against unscrupulous and underhanded businesses, who are unencumbered by any restrictions on activities that might harm the environment, or take advantage of middle-class families, or threaten to bring down the entire financial system.”
日本語訳
「適切な監視がなければ、責任ある企業は、不正直で不正な企業と競争を強いられることになる。そうした企業は、環境を損ない、中間層の家庭を食い物にし、さらには金融システム全体を脅かすような行為にも何の制約も受けない」
解説
この発言は、バラク・オバマが規制と監視の必要性を力強く訴えたものである。彼は、誠実にビジネスを行う企業を守るためにも、適切なルールと監督が不可欠であると述べ、無規制状態が健全な経済競争を破壊し、社会全体に甚大なリスクをもたらすことを警告している。特に「unscrupulous and underhanded businesses（不正直で不正な企業）」という表現は、倫理に欠ける行動を取る企業への強い批判を鮮やかに示している。
背景には、オバマ政権が進めた金融規制改革（ドッド＝フランク法）がある。2008年の金融危機を教訓に、彼は金融システムの透明性向上とリスク管理の強化を目指し、責任ある市場経済の確立に取り組んだ。この発言は、自由市場を守るためにこそ、適切な規制と監督が必要であるというリーダーシップ哲学を体現している。
現代においてもこのメッセージは非常に重要である。たとえば、新興テクノロジー企業やグローバル金融市場が急速に拡大する中で、オバマのこの発言は、公平で持続可能な市場経済を維持するためには、健全なルール作りと厳格な監督が不可欠であるという普遍的な教訓を力強く伝えている。
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