「中東や東ヨーロッパにおける不安定さが際立ったこの夏、世界はミズーリ州ファーガソンという小さなアメリカの都市にも注目した。そこで若者が殺され、コミュニティが分断された。そう、私たち自身にも人種的・民族的緊張が存在する」

1961年8月4日~
アメリカ合衆国出身
政治家、弁護士、作家
バラク・オバマは、アメリカ合衆国第44代大統領として、2009年から2017年まで務めた人物である。
最大の功績は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを成立させたことであり、数千万人の無保険者に保険加入の道を開いた。また、パリ協定への参加を主導し、気候変動対策にも取り組んだ。外交面ではキューバとの国交正常化を実現し、イラン核合意にも署名した。
しかし、政策推進にあたり議会との対立が激化し、分断を深めたとの批判もある。人種問題や中東政策への対応も賛否が分かれている。彼の理想主義的な演説と実務とのギャップを指摘する声も存在する。
英文
“In a summer marked by instability in the Middle East and Eastern Europe, I know the world also took notice of the small American city of Ferguson, Missouri — where a young man was killed, and a community was divided. So yes, we have our own racial and ethnic tensions.”
日本語訳
「中東や東ヨーロッパにおける不安定さが際立ったこの夏、世界はミズーリ州ファーガソンという小さなアメリカの都市にも注目した。そこで若者が殺され、コミュニティが分断された。そう、私たち自身にも人種的・民族的緊張が存在する」
解説
この発言は、バラク・オバマが国際社会の動揺と国内問題の関連性について語ったものである。彼は、世界が注目する国際紛争のさなかに、アメリカ国内の人種問題、特にファーガソン事件もまた世界の注視を集めたことを率直に認めた。特に「we have our own racial and ethnic tensions(私たち自身にも人種的・民族的緊張がある)」という表現は、国家としての自己認識と謙虚な反省を示している。
背景には、2014年、ミズーリ州ファーガソンで白人警官による黒人青年射殺事件が発生し、それが全米規模の人種差別抗議運動へと発展した社会状況がある。オバマは、アメリカが国際社会において民主主義と人権を説く立場にある一方で、国内にも未解決の深刻な課題があることを認め、国の内外で一貫した価値観を体現する必要性を訴えた。この発言は、自己批判を伴う誠実なリーダーシップを示している。
現代においてもこの認識は極めて重要である。たとえば、国内外での人権問題への取り組みの一貫性や信頼性の確保において、オバマのこの発言は、自国の課題から逃げずに向き合うことこそが、真のリーダーシップの条件であるという普遍的な教訓を力強く伝えている。
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