「アメリカの役割は限定的なものにとどめること、リビアに地上軍を投入しないこと、作戦の初期段階では我々の独自の能力に集中すること、そしてその後は同盟国やパートナーに責任を引き継ぐことを、私は述べた」

1961年8月4日~
アメリカ合衆国出身
政治家、弁護士、作家
バラク・オバマは、アメリカ合衆国第44代大統領として、2009年から2017年まで務めた人物である。
最大の功績は、医療保険制度改革、いわゆるオバマケアを成立させたことであり、数千万人の無保険者に保険加入の道を開いた。また、パリ協定への参加を主導し、気候変動対策にも取り組んだ。外交面ではキューバとの国交正常化を実現し、イラン核合意にも署名した。
しかし、政策推進にあたり議会との対立が激化し、分断を深めたとの批判もある。人種問題や中東政策への対応も賛否が分かれている。彼の理想主義的な演説と実務とのギャップを指摘する声も存在する。
英文
“I said that America’s role would be limited; that we would not put ground troops into Libya; that we would focus our unique capabilities on the front end of the operation, and that we would transfer responsibility to our allies and partners.”
日本語訳
「アメリカの役割は限定的なものにとどめること、リビアに地上軍を投入しないこと、作戦の初期段階では我々の独自の能力に集中すること、そしてその後は同盟国やパートナーに責任を引き継ぐことを、私は述べた」
解説
この発言は、バラク・オバマが2011年のリビア軍事介入に関する方針を説明したものである。彼は、アメリカの関与を限定的かつ戦略的なものに留める方針を明確に打ち出し、「責任の移転」を強調することで、長期的な軍事的泥沼を避ける意志を示した。ここでの「limited」「transfer responsibility」という表現は、慎重で国際協調を重視する姿勢を表している。
背景には、アフガニスタンやイラク戦争での長期的駐留に対するアメリカ国内の強い疲弊感と反発がある。オバマは、短期的な空爆と支援に留め、その後の安定化や再建をNATOや地域パートナーに委ねるという新たな軍事介入モデルを提示した。この発言は、国力を適切に配分しつつ、国際的責任を分担するアプローチを象徴している。
現代においてもこの方針は大きな示唆を与える。たとえば、地域紛争への介入において、単独行動を避け、国際協力を前提とする戦略は、持続可能な平和構築に不可欠である。オバマのこの発言は、力の行使と責任の分担を慎重に両立させるリーダーシップのあり方を考える上で、今なお重要な指針となっている。
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