「一つの魂の中で働くさまざまな力を誰が描き出せるだろうか。人間は深遠なる存在である、主よ。彼の頭の毛を数える方が、彼の感情や心の動きを数えるよりもはるかに容易である」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”Who can map out the various forces at play in one soul? Man is a great depth, O Lord. The hairs of his head are easier by far to count than his feeling, the movements of his heart.”

日本語訳

「一つの魂の中で働くさまざまな力を誰が描き出せるだろうか。人間は深遠なる存在である、主よ。彼の頭の毛を数える方が、彼の感情や心の動きを数えるよりもはるかに容易である」

解説

この言葉はアウグスティヌスの『告白』に見られる思想を反映している。彼は人間の魂の内奥を探求し、理性と欲望、意志と恩寵の複雑な相互作用をしばしば描き出した。人間は単純な存在ではなく、数え切れない感情や意志の動きに揺れ動く存在であるという自覚が、彼の回心体験と神学の基盤にあった。

この言葉は、人間の自己理解の限界を示している。人は自らを完全には理解できず、魂の深淵を知るのは神のみであるという謙虚さがここにある。アウグスティヌスは、自己分析を徹底しながらも、最終的には神に依存するしかないことを告白している。

現代においても、この洞察は重要である。心理学や神経科学が進歩しても、人間の感情や心の動きは完全には測り得ない。人間の内面は数値化や単純化を超えた深さを持つという認識は、自己理解や他者理解における謙虚さと敬意を忘れないための指針となる。

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