「今キリスト教と呼ばれているものは、古代の人々の間にも存在していた。以前から存在していた真の宗教を、人々はキリスト教と呼ぶようになったのである」

- 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
- ローマ帝国(現アルジェリア)出身
- 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父
英文
”The same thing which is now called Christian religion existed among the ancients. They have begun to call ‘Christian’ the true religion which existed before.”
日本語訳
「今キリスト教と呼ばれているものは、古代の人々の間にも存在していた。以前から存在していた真の宗教を、人々はキリスト教と呼ぶようになったのである」
解説
この言葉はアウグスティヌスの『神の国(De Civitate Dei)』に由来する。彼はここで、真の宗教は歴史を超えて普遍的に存在し、キリストにおいて完成したと述べている。すなわち、キリスト教は歴史のある時点で突然始まったのではなく、古代から連綿と続いてきた神への正しい信仰が「キリスト教」と名づけられたにすぎないという理解である。
この思想は、異教世界と対話するために重要であった。アウグスティヌスは、古代の賢者や預言者の中にも部分的に真理を捉えていた者がいると認めつつ、それらはキリストにおいて完全に明らかにされたとした。つまり、キリスト教は歴史的に新しい宗教ではなく、普遍的真理の歴史的完成形であると主張したのである。
現代においても、この言葉は宗教理解に示唆を与える。異なる宗教や文化に部分的な真理を認めながら、普遍的な真理との連続性を強調する姿勢は、宗教間対話や普遍宗教の探求に通じる。アウグスティヌスの視点は、宗教多元的な世界においても、信仰の歴史的意義を考える上で今なお有効である。
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