「不正な法律は、私には法律とは思えない」

- 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
- ローマ帝国(現アルジェリア)出身
- 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父
英文
”It seems to me that an unjust law is no law at all.”
日本語訳
「不正な法律は、私には法律とは思えない」
解説
この言葉はアウグスティヌスの思想に基づくとされるが、原典にそのままの表現は存在しない。しかし趣旨は彼の著作『自由意志論』や『神の国』に繰り返し現れている。アウグスティヌスは、真の法は神の正義に基づく自然法であり、正義を欠いた規則は法の名に値しないと考えた。したがって、たとえ人間社会で「法律」と呼ばれても、それが不正に基づくならば実質的には無効であるという立場をとった。
この思想は後世に大きな影響を与えた。中世の自然法思想はもちろん、トマス・アクィナスも「不正な法は法ではない」と述べ、アウグスティヌスの立場を継承している。また近代においても、マーティン・ルーサー・キング・ジュニアが公民権運動の中で同趣旨を引用し、不正な人種差別法への抵抗を正当化したことは有名である。
現代においても、この言葉は法と正義の関係を考える上で重要である。法の形式があるだけでは十分でなく、その内実が正義に適うかどうかが本質的な問題となる。権威や制度に盲従するのではなく、正義を基準として法を批判的に捉える姿勢が、社会における自由と人権の保障に不可欠である。
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