「正義なきところにおいて、主権とは組織化された強盗にすぎない」

- 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
- ローマ帝国(現アルジェリア)出身
- 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父
英文
”In the absence of justice, what is sovereignty but organized robbery?”
日本語訳
「正義なきところにおいて、主権とは組織化された強盗にすぎない」
解説
この言葉はアウグスティヌスの『神の国(De Civitate Dei)』に由来し、正義なき権力は支配ではなく略奪にすぎないという鋭い洞察を表している。彼はローマ帝国の衰退期に生き、権力の腐敗や暴力による支配を目の当たりにしながら、政治権力の正統性は正義に基づくか否かで決まると強調した。
この考えは、当時のローマ帝国に対する批判であると同時に、普遍的な政治哲学の原則でもある。国家や権力が正義を欠けば、見かけ上の秩序や法律があっても、それは単なる支配と搾取の制度化にすぎない。法と権力は正義によってのみ正当化されるという彼の主張は、後の西洋政治思想に深く影響を与えた。
現代においても、この言葉は重要な警告である。独裁や権威主義的体制、さらには腐敗した統治は、国家の名を借りた「組織化された強盗」として理解できる。正義のない権力は必ず暴力と搾取に堕するというこの洞察は、民主主義や法の支配を守るための根本原理として、今日に至るまで強い意味を持ち続けている。
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