「プラトンやキケロの書に、賢く美しい言葉を数多く読んできた。しかし彼らのいずれの書にも『すべて疲れた者、重荷を負う者よ、我に来たれ』とは書かれていなかった」

- 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
- ローマ帝国(現アルジェリア)出身
- 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父
英文
”I have read in Plato and Cicero sayings that are wise and very beautiful; but I have never read in either of them: Come unto me all ye that labor and are heavy laden.”
日本語訳
「プラトンやキケロの書に、賢く美しい言葉を数多く読んできた。しかし彼らのいずれの書にも『すべて疲れた者、重荷を負う者よ、我に来たれ』とは書かれていなかった」
解説
この名言は、古代哲学の卓越性を認めつつも、それが人間の魂を癒す力においてキリストの言葉に及ばないことを明確に述べている。アウグスティヌスは若き日にプラトンやキケロといった古典哲学に深く傾倒していたが、真に自らの魂を変え、癒したのはキリストの招きであったと『告白』に記している。
ここで引用されている「Come unto me all ye that labor and are heavy laden」は、新約聖書マタイ11章28節にあるイエスの言葉である。この一節は、単なる知的教えではなく、悩める人間を受け入れる慈愛に満ちた呼びかけであり、アウグスティヌスにとってそれが哲学にはない、神の愛の現れであった。理性の言葉と愛の言葉の差異を強調している点が重要である。
現代においても、知識や理論では救われない心の苦しみに直面することは少なくない。そのようなとき、この名言は人間の存在における「癒し」と「寄り添い」の必要性を思い起こさせる。理性を超えた愛の言葉が、いかに魂を変える力を持つかを示す、深い霊的証言である。
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