「神は、まるで私たち一人ひとりしか存在しないかのように、それぞれを愛している」

- 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
- ローマ帝国(現アルジェリア)出身
- 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父
英文
”God loves each of us as if there were only one of us.”
日本語訳
「神は、まるで私たち一人ひとりしか存在しないかのように、それぞれを愛している」
解説
この言葉は、神の愛の絶対性と個別性を強調するものである。アウグスティヌスは、神の愛が全人類に注がれるものであると同時に、個人一人ひとりに向けられた完全なものであることを説いている。人は群れの中の一つの存在ではなく、神にとってかけがえのない唯一の存在であるという認識がここに表れている。
この思想は、神の全知性と無限の愛の能力に基づく。人間の愛はしばしば数や時間、関係性によって制約されるが、神の愛は同時にすべてに注がれ、しかも完全に個人へと向けられる。このような視点は、孤独や劣等感に苛まれる現代人に対して、深い慰めと存在意義を与えるものである。神の前において、私たちは忘れられた一人ではなく、愛されている唯一者である。
現代においてこの言葉は、無力感や比較による自己否定に対抗する信仰の支柱となる。社会の中で自分が取るに足らない存在だと感じたとき、この言葉は、誰にも置き換えられない価値を持つ自分自身を再発見させる。すべての人を平等に愛しながらも、神が「私だけを見て愛してくれている」と信じることができる――この逆説にこそ、信仰の深さがある。
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