「神を最もよく知るのは、神を知らないことによってである」

アウグスティヌス(画像はイメージです)
アウグスティヌス(画像はイメージです)
  • 354年11月13日~430年8月28日(75歳没)
  • ローマ帝国(現アルジェリア)出身
  • 神学者、哲学者、キリスト教教父、ラテン教父

英文

”God is best known in not knowing him.”

日本語訳

「神を最もよく知るのは、神を知らないことによってである」

解説

この言葉はしばしばアウグスティヌスに帰されるが、彼の著作に確認できる直接の出典は存在しない。むしろ中世以降に展開された「否定神学(apophatic theology)」、すなわち神を言葉や概念で把握できない存在として理解する思想に近い表現である。したがって、アウグスティヌスの真正の言葉というよりも、彼の思想に影響を受けた伝統の中で形成されたパラフレーズと考えるのが適切である。

もっとも、アウグスティヌスも『三位一体論』などで、神の本質は人間の理性では完全に捉えられないと繰り返し述べている。人間が神を知るのは、神そのものを把握するのではなく、神の働きや啓示を通じて部分的に知るという形であり、究極的には「知らない」という認識の中に真の知があるとした。この点で、この言葉はアウグスティヌスの思想とも一定の親和性を持つ。

現代においても、この言葉は重要な意味を持つ。科学や理性の限界を超える存在を理解しようとするとき、「分からない」ことを認める謙虚さは不可欠である。神学的文脈にとどまらず、人間が自らの認識の限界を受け入れる姿勢として、この言葉は普遍的な知恵を示している。

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